
「緻密な仕掛け 」
今年の92の参加ブランドの中で、絶対的な存在感と圧倒的な魅力を放っていたのがこの【JEWEL YU】だった。
正直、2017年の参加者たちの全体的なレベルは例年に比べて非常に高かった。
だが、90のクリエイター・ブランドのを見て回っても、沢山の人の頭に残るのはJEWEL YUのブランドだったということ。
商品は細かな気遣いや、一つからの展開力、緻密な設計、それらが今しか使えないものではなく、どの年代の人が身に着けても「素敵ね」と褒められるようなデザイン性の高さは、一生もの。
決して奇抜ではなく、むしろ王道なジュエリーらしさを感じさせてくれるラインと、細かな曲線やカット面の取り入れ方で新しい提案をさらっと織り交ぜている。
目を惹いたTRIANGLE SERIESでは、幾何学模様の織りなす線が作り出す繊細さから、一点一点の仕事の丁寧さに気付かない人はいないだろう。
何か特別な時、大切な物を頼みたいのならJEWEL YUをチェックしてみるといい。 きっと長年のパートナーとなってくれる子との出会いがあるはず。
これからのJEWEL YUの新しいスタイルの提案は今後見逃せない。
【JEWEL YU 公式WEBサイト】
「小さな宇宙 」
「小さく繊細でお利口さん。でも時々妙に大胆。」そんな言葉がこのブランドにはよく似合う。
KAZAMI JEWELRYの作品たちは、ちょっとした同窓会の様な集まりの時や、フォーマルな場所、カジュアルなシーンなど、どんな時でも馴染んでくれそうなお利口さんなラインが数多い。
まだブランドを立ち上げて間もないにも関わらず、安心感と安定感のある土台がしっかりした印象で、私の中で「優等生」というイメージがあったブランドだ。
そんなKAZAMI JEWELRYの作品をきちんと全て揃った状態で見たのは、この展示会が初めてだった。
優秀なアイテムはもちろん、バランスの取れた「ちょうどいい」商品たちが並ぶ中にさりげなく混ざっている「ん?」と見る目を引っ掛からせるアイテム。
見たことのない形だし、すごく個性的なのに違和感がない。
不思議な形なのに、多分この子も身に付けたら何にでもあってしまうのだろうと容易に想像させられてしまう。デザインの絶妙な駆け引きがうますぎるのだ。
怖いのは、それを狙ってなのか天然なのかわからずやってしまうKAZAMI JEWELRYのポテンシャルだ。
普段は優等生なのに、たまに大胆な遊び心を垣間見せるKAZAMI JEWELRY
魅力的なこのブランドの成長を、私は秘かにとても楽しみにしている。
【KAZAMI JEWELRY 公式WEBサイト】
【Instagram】
「圧倒的な彫りと戦略 」
今までのDesigner's FESTA史上で、TOP3にハワイアンジュエリーがランクインしたのはこの年が初めてだったはずだ。
彫りの美しさは、もはや言うまでもない。
作者の長尾さんは、まだ小さな頃のこのDesigner's FESTAの長年の参加者として超常連だ。初めて出逢った頃から既にずっとずっと彫りの技術は高かった。
しかし、この2017年のDesigner's FESTAを皮切りに彼のスタイルは大きく変わった。
今までは、ほんの数点のスマホケースや指輪・バングルの王道アイテムの出品が主だったが、この展示会からヘアゴムの大きさを大・中・小と大きさを揃えて40点近くの出品となった。
出品リストをチェックしていたときに「あ、勝負仕掛けてきたな」とにやり。
この投票結果を心待ちにしていたのは、私や本人だけではなかったはずだ。
ただ技術の凄さだけでは売れない今、いかにニーズを読み取って、他者との差別化を図っていくのか。有りそうなのに無いものを見つける着眼点。やりきる大胆さ。見栄えのプレゼンテーション。
どんなに美しい彫りを彫れたとしても、手に取ってもらえなくては気付いてもらえない。厳しいようだが、このDesigner's FESTAで気づいてもらいたい事そのものを、彼はしっかり見せつけてくれたのだと思う。そう、意思のあるものは強く人を惹きつけるのだ。
長尾さんの新しい挑戦は実を結び、現在ではInstagramを中心にヘアゴムの注文が殺到しているそう。
でも、変わらずDesigner's FESTAには登場してくれるそうで、2018年度も貴重な在庫を出品してくれるそうだ。
エングレーバーとして、注目の若手である長尾さん。
彼のターニングポイントのきっかけの一つがこの賞であることが、主催者として心からの誇りです。
【Instagram】